フリードマン編成本部長(左)と握手を交わす佐々木朗希(ロイター)
ドジャースのアンドリュー・フリードマン編成本部長(48)が、佐々木朗希投手(23)の獲得の舞台裏を語った。岩手・大船渡高時代から視察してきた球団の成果が、佐々木に課されていた各球団への〝宿題〟に反映。佐々木が求めた分析と育成面で長所を示したことが奏功したといい、今後の起用法にも言及した。
次々と大型補強を成功させてきた敏腕の編成トップは感慨深げだった。ドジャースのフリードマン編成本部長は佐々木と正式契約を結び、「彼の登板を視察するためにスタッフがどれだけの時間と労力をかけたか。彼の夢はサイ・ヤング賞(最優秀投手賞)。達成できると思うし、サポートしていきたい」と誓った。
大船渡高3年時の2019年から追い続けてきた成果が、今回の交渉で優位に働いた。佐々木は1次面談に参加する球団に「なぜ昨季、自分の平均球速が落ちたのか」と〝宿題〟を課した。
2023年の直球の平均球速が159・3キロだったのに対し、昨季は155・9キロに低下。難問に回答するには佐々木の投球技術、コンディション、データ、経験など膨大な情報収集に加え、球団ツールで分析を図る必要がある。期間も数週間に限られていた。
だが、フリードマン編成本部長は「この宿題は球団の強みを示すのに最適」と感じ取った。メジャートップクラスのファーム育成システムに加え、「トレーニング×科学」の分野で密接に連携する組織の長所を示せると踏んだからだ。その上、佐々木を6年間視察してきた。ドジャースはこう回答した。
「太ももの故障から復帰した投手の歩幅(ステップ幅)が、以前とズレて投球フォームに影響を与える場合がある」
プロ入り以降、佐々木は下半身の状態不良を公にしたことはないが、軸足となる右足と踏み出す左足の幅の変化が球速低下に影響を与えた可能性を示唆。球団は早い段階で、その問題点を認識していたという。
佐々木は育成プランについても球団に尋ねたという。具体的な内容は伏せたが、フリードマン編成部長は「間違いなく先発。開幕も先発として迎える見込み」と語った。この日の時点で年間のイニング数は設定せず「登板後の回復を見極めて決めていく。翔平が二刀流選手登録になれば、より柔軟に対応できるかもしれない」と利点を強調した。
朗希「限られた時間で具体的に考えを理解したかった」
佐々木は1次面談に臨むにあたり、各球団に与えた宿題について「(マイナー契約のため)契約条件にあまり差がないので、限られた時間の中でより具体的にチームの考えを理解したかったから」と説明した。代理人を務めた大手代理人事務所「ワッサーマン」のジョエル・ウルフ氏は宿題について「佐々木のアイデアだった」と明かし、「佐々木には多くの伸びしろがある。(宿題の回答は)彼が判断する上で(決断の)大きな比重を占めたと思う」と推察した。
球団公式Xより引用
★靴下に愛犬のラムの刺繍 大谷流の〝ワン〟ポイントアイテムが光った。佐々木がこの日、着用した靴下に愛犬のラムが刺繍されていた。記者から靴下について尋ねられ「黒のトイプー(ドル)で誕生日(11月3日)が一緒」と明かし、表情が緩んだ。大谷も愛犬デコピンがデザインされたスパイク、スーツなどを球宴などの節目に着用。佐々木は「支えてくれた家族に感謝を伝えたい」と、愛犬ラムと入団会見に臨んでいた。